« 名物 | トップページ | 借景 »

2005年7月24日 (日)

地域個性・地域らしさ

芭蕉の句
   行春を近江の人とおしみける

この句について『去来抄』に次のようなやりとりがあります。

先師曰く「尚白が難に、近江は丹波にも、行春は行歳にもふるべしといへり。汝いかが聞き侍るや。」
去来曰く「尚白が難あたらず。湖水朦朧として春ををしむに便あるべし。殊に今日の上に侍る」と申す。
先師曰く「しかり。古人もこの国に春を愛する事、をさをさ都におとらざる物を。」
去来曰く「この一言心に徹す。行歳近江にゐ給はば、いかでかこの感ましまさん。行春丹波にいまさば、もとよりこの情うかぶまじ。風光の人を感動せしむる事、真なるかな」と申す。

尚白が「近江は丹波にも、行春は行歳にも代えられる」と言ったことについて、去来が反論し、芭蕉が説明を付け加えています。
そこには、琵琶湖の行く春の風景の固有性と地元の人々の思いが示されています(それは同時に、芭蕉自身のその風景に対する愛着でもあります)。

『去来抄』にあるこの芭蕉の句と一節は、観光における地域個性・地域らしさを考えるヒントを与えてくれます。

|

« 名物 | トップページ | 借景 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/114690/5121597

この記事へのトラックバック一覧です: 地域個性・地域らしさ:

« 名物 | トップページ | 借景 »